WCAN 2012 Winter に参加しました

2012年12月22日、名古屋国際会議場で「WCAN 2012 Winter」が行われました。
年4回行われているWCANの、2012年最後の冬の回です。
今回は長谷川恭久さんによる「モダン・タイムス〜コンテンツと作り手を自由にするWebデザイン」と、高畑哲平さんによる「今までのWebマーケティングとこれからのWebマーケティング」でした。


モダン・タイムス〜コンテンツと作り手を自由にするWebデザイン / セッション概要

サイトの基本構造や、作るためのワークフローが確立されたかのように見えた Web デザイン。それがマルチデバイス化の波が訪れたことで、大きく変化し始めています。今までのようにただ作り続けているだけでは、自動化したサービスと同じような存在になりかねません。機械の部品の一部のような仕事では、必要とされなくなるのは時間の問題ですし、良いモノを作りたいと思うデザイナーやプログラマーにとっても面白くない世界になってしまいます。

今回は 4 つの「C」をキーワードに今後の Web デザインワークフローのヒント紹介します。機械化の波に飲まれないモダンな Web 制作者への道はひとつだけではありません。サイトからアプリまで関わり方は様々なので、このセッションを機会に Web とデザインの関わり方を再考してみましょう。

恭久さんによる解説、スライドはこちらから。
機械化によってはじまる未来のデザインプロセス: could

「Webサイト」ができるまでのプロセスと役割の変化

恭久さんのセッションで印象に残ったのは「機械化に負けない仕事をしよう」ということ。
これまで漠然と感じていた、制作プロセス中での機械化(自動化)に対する拒否感のようなものに対して、単純に拒否するのではなくポジティブに活用して、その分の時間やパワーをコンテンツに振り分けようという気持ちがハッキリしてきました。
今に始まったことではありませんが、最近は特に機械化(自動化)に関するトピックも増えてきて、いい意味でこれまでの制作プロセスに対するこだわりを捨てて新しい取り組みをする時期に来ているのかなと感じます。

制作に関する技術が進化していくなかで自分自身がこの世界で生き残っていくためにはどうしたらいいのか、という不安に対して、恭久さんの言葉はしみ込むように聞こえました。

機械の一部のような仕事であれば先は明るくありません。しかし、人間にしかできないことを見出すことで、機械と競合しない、協調した形で価値を育むことができると考えています。

今までのWebマーケティングとこれからのWebマーケティング / セッション概要

2000年前半以降、常にWebマーケティングの中心にあったSEOやSEMですが、検索エンジン至上主義とも言える関係がこれからも主流になっていくのでしょうか? フラッシュマーケティング、ソーシャルメディア、オウンドメディア、インバウンドマーケティングなど、毎年のように新しい手法が提唱され、Web制作の環境に少なからず影響を与えています。

Webマーケティングが時代の流れにそって変遷していくのであれば、当然関わるWebサイトの役割も変わってきます。本セッションでは、具体的な事例をもとに今までのWebマーケティングとこれからのWebマーケティングを比較しながら、今後のWebサイトの役割について見直していきたいと思います。

マーケティング=誰に何を届けるのか?というアプローチ

高畑さんのセッションでは、Webに特化した様々な手法と事業時期ごとに移り変わる効果という、Web制作者に伝わりやすい切り口でマーケティングが語られました。
成長期のための「競合からの突出を狙うための品質の視覚化」や成熟期の「Webの範疇を越えるかもしれない施策」から、成長期を加速させる「1:nの方法」についての具体的な事例が多くありましたが、それぞれを聞いて共通するイメージがあります。
それはマーケティングとは「誰に何を届けるのか?」というアプローチであるということです。物にしてもサービスにしても、どんな人がそれを必要としているのか、ということを考えるのが大前提としてあり「誰に、どのタイミングで、どんな伝え方をしたらビジネスが成立するのか」というのがマーケティングの本質であるのかなと今更ながら感じました。

Webマーケティングというと一見専門的な内容に感じられますが、メディアの違いこそあれど根っこの部分は変わらないわけで、いちWeb制作者であってももはやその専門性にあぐらをかくことなく、お客様とお話をする上での基本的なスキルのひとつとしてマーケティングという世界にも触れていなければならないのかもしれません。


技術的手法を押さえた上での、コンテンツへの回帰

2つのセッションに共通して感じたのは、技術の進化を受け入れた上で、もう一度コンテンツへ向き合うということ。本質と向き合うとも言えるかもしれません。
それが大事だとわかっていても難しいものですが、こうやって刺激を受けることで意識の中で問題を感じていくというのが最初の一歩です。2013年もまたきっと激動の1年になるのでしょうけど、1年が終わったときに少しでも前に進んでいられるようにがんばりたいです。

恭久さん、高畑さん、ありがとうございました。


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