縦画面タイトルでふりかえるワンダースワンのこと

今まであまり気にしてこなかったんですが、個人的に遊んでるスマートフォン向けのゲームって、横画面のものが多かったりします。
もちろん縦画面のゲームも多いかと思いますが、横画面のゲームというのは既存のコンシューマゲーム機につながるイメージから「ゲーム感」があるのかもしれません。


ワンダースワンソフト

今回ご紹介するのはこの5タイトル!

自分自身は昔からアーケードゲームを遊んでいたためか縦横にこだわりなくゲームを楽しんできましたが、コンシューマゲーム機ではアーケードからの移植タイトルも縦から横に変換されることも多く、ビデオゲーム=横画面の感覚が一般化しているのかなぁという気がします。

そんなことを考えていたら、手元に縦でも横でも遊べるゲーム機があることを思い出しました。そう。ワンダースワンです。
後の歴史ではニンテンドーDS、PSP(の方はやや無理矢理感がありましたが……)でも縦画面で遊べるタイトルが出ているものの、ハードウェア設計から縦・横の両方に対応していたのはワンダースワンだけと言ってよいでしょう。
そんなワンダースワンでは、縦画面をどう扱っていたのか、そこにどんな楽しさがあったのかということについて、手持ちのタイトルから少しだけ振り返ってみたいと思います。

ご注意:このエントリで掲載している写真は、スワンクリスタル基盤・液晶をワンダースワンカラーの筐体に組み込み、フロントライトを追加したものです。一般に流通しているワンダースワンカラーとは表示のされ方が違いますのでご注意ください。


グンペイ (1999年/バンダイ)


グンペイ タイトル画面

タイトル画面を見て音楽が聞こえてくる方もいるのでは?

ワンダースワンのロンチタイトルにして象徴的存在である「グンペイ」は、縦画面のパズルゲームで、当ブログでも「ワンダースワンとGUNPEY、へのへののこと」として書き残しています。縦にせり上がっていくパネルを横につなげるというルールと原作となる「へのへの」の存在から縦画面となるのは必然で、ワンダースワンの可能性を示す役割も負っていたのがグンペイと言えます。


グンペイ プレイ画面

さぁ、つなげますか!

ワンダースワンユーザの中にも「ほとんどグンペイ専用機だった!」という方は一定数みえるのではないでしょうか。それまでなかった縦画面ゲームをそれほどまでに浸透せしめたのは、せり上がるスピードを上げていくレベル上昇とマッチした縦画面構成があってこそ、と感じます。





テラーズ (1999年/バンダイ)


テラーズ タイトル画面

タイトル画面からおどろおどろしい……

テラーズ プレイ画面

白黒の画面が意外にマッチしているんです

どういうわけか、ワンダースワンといえば「ホラーゲーム」しかも「ノベルゲーム」がひとつのジャンルとしてしっかり確立していました。
後にニンテンドーDSでも「読ませる縦画面」はあれこれと出てきますが、今で言う電子書籍的な、縦画面での文章の見せ方をソフト・ハード両面を組み合わせて生み出したのはワンダースワンのノベルゲーム各種の功績のひとつではないでしょうか。
ワンダースワンのノベルゲームの先駆けとなったテラーズでは、1999年当時の携帯機では珍しくセリフに合わせて音声も流れるという力の入れようと、本体サイズと縦画面の組み合わせから、新しい形の文庫本とも思えるゲーム体験を提供してくれました。1998年のゲームボーイカラーの登場により当時では貧弱と思われたモノクロディスプレイも、ちょっとザラついた画像と白黒のテキストが組み合わさることで自然な没入感が得られており、振り返ってみればこのスタイルがジャンルとして確立されたのもうなずけます。





クレイジークライマー (1999年/日本物産)


クレイジークライマー タイトル画面

タイトルよりも社名の方が大きいところが味だなぁ

原作となるアーケードではメインのビルの左側にマップやスコアなどが配置されていたところを、ワンダースワン版では大胆にビル部分のみにフォーカスして縦画面化が行われています。

クレイジークライマーといえば、高い高いビルを丸腰で登り切る文字通りクレイジーなクライマーのゲームで、アーケード版では2本のスティックを両腕に見立てて操作します。この操作方法を再現するためにファミコン版では1コン2コンを同時に使用するというややクレイジーな手段が取られたわけですが、ワンダースワンは縦持ち時の左右各4ボタンを生かし、かなり自然な形で両腕の操作ができるようになっています。


クレイジークライマー プレイ画面

全面的にビル!

クレイジークライマーの面白さの肝は「登りまくる快感」にあると感じていますが、少ない表示領域でキャラクターを魅力的に見せながら迫力と爽快感を出していくために敢えて割り切った表示をしたのは英断だったのではないでしょうか。
クレイジークライマーについては、過去に「本気で遊べるキーチェーンゲーム マメゲームシリーズのこと」「自宅がゲーセンに!? FLクレイジークライミングのこと」でも紹介しています。





レインボーアイランド パティーズパーティ  (2000年/メガハウス)


パティーズパーティー タイトル画面

今回の主役はバビーとボビーではなくおしかけ弟子の「パティー」

パティーズパーティー  ダライアス面

ダライアス面もありますよ!


原作となるレインボーアイランドのアレンジ移植作ですが、原作では横画面・縦スクロールだったところを縦画面としています。横方向は収まりきらない部分を左右にスクロールできるという形で、縦方向への「登る感覚」を重視しているようです。虹とジャンプを使って登っていく楽しさがポイントの一つであるこのタイトルでは、縦画面を採用したのが楽しさをアップしていると感じました。


また、ステージによっては画面下から海に飲み込まれてしまう演出があり、上へ上へと逃げていく動きを考えると、縦画面の構成が活きてくる印象を受けます。

ゲーム自体はレインボーアイランドをうまくワンダースワンに落とし込んでいると思うのですが、いかんせんモノクロで「レインボー」アイランドを表現しようというところにやや苦しさがあります。「ぷよぷよ」などのように色の有無がゲームのルールとして重要というわけではありませんが、ゲームの世界観的にカラーでリリースして欲しかったなぁという惜しさが……。





テトリス (2002年/ヴァンガード)


ワンダースワン版テトリス ROMカートリッジ

カナのロゴがかわいい!

もはや説明の必要もないタイトルですが、よく考えるとアーケード版は横画面の中央にメインのゲーム部分が表示されると言う構成でした。

表示領域の都合か、縦画面に必要な情報をスッキリまとめた画面構成が非常にしっくりきます。唯一もったいないなぁと思うのは、ゲーム画面外側の背景部分。アーケード版テトリスと言えば背景に見えるイグアナが印象的ですが、ワンダースワン版ではこの背景にあたる部分ががほとんど無いのです。ポーズ時には背景全体が見られるのですが、細かな描き込みが美しいのでこちらも要チェックです。


ワンダースワン版テトリス タイトル画面

赤基調のスタイリッシュなタイトル画面

ワンダースワン版テトリスのポーズ画面

ポーズ時に見える背景のテイストはアーケード版っぽい

時代背景的にも「今さらテトリス?」という感があったのかもしれませんが、実際に遊んでみると軽快なテクノ調アレンジのBGM、列を揃えた際の演出(列が消えるのではなく、壊れる)やレスポンスの良さなど、とても気持ちよく遊べる一昨となっています。



ちなみに、2020年現在でも見られる公式ページでは「ワンダースワンカラーにひさびさの縦画面ゲームが登場!」とあり、ワンダースワンの歴史の後期となる2002年では横画面が大勢を占めていたようです。





縦画面ゲームの面白さとは?


ワンダースワンカラー

今見てもカッチョいいワンダースワン

こうして振り返ってみると、これらのワンダースワン縦画面ゲームで印象に残るのは、ゲームの「枠」としての役割だけでなくゲームのルールに関わっていたり、縦の高さを生かして別の何か(ビルであったり、本であったり)を表現しているところなのかなぁという気がしてきます。開発者のみなさんも、縦画面ならではの楽しさを作り出すのに色々な工夫をされていたのだと思います。
クラシカルなアーケードゲームの時代(縦横混在)からコンシューマ機全盛(主に横画面)を経て、スマートフォン(縦横混在)の時代が巡っているのは、なんだか不思議なものです。

自分自身は80年代中期ごろからのアーケードゲームを主に遊んでいたので、ワンダースワンの縦画面にはなんとも言えない懐かしさを覚えました。携帯ゲーム機がスマートフォンゲームに押されるこの時代、ワンダースワンを縦にしたり横にしたりと遊んでみる今日この頃なのでした。

それではまた。

余談

今回は手持ちの中からいくつかをピックアップしてご紹介しましたが、幸い2020年現在も公式サイトが健在のため、サイト内で「タテ画面」を検索することで縦画面タイトルを個別に確認ことができます。興味がある方は以下のリンクからご確認ください。

site:www.swan.channel.or.jp タテ方向 - Google 検索


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