8Bitdo Retro Cube SpeakerとNESのデザインのこと

8Bitdo Retro Cube Speaker公式サイト

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先日「8Bitdo Retro Cube Speaker」をリスペクトしつつ「ゲームキューブスピーカー」を工作しておりましたが、この「8Bitdo Retro Cube Speaker」日本でも間もなく発売となるようです。
PVを見るにコンパクトなボディと、NESの配色を模したカラーリングがたまりません。




そもそも「ファミコン」じゃない


この「8Bitdo Retro Cube Speaker」ですが、ネット上ではちょいちょい「ファミコンみたいな」とか「ファミコン風」などと書かれています。が、そもそもこのデザイン、どこをどう見てもNES(Nintendo Entertainment System)のコントローラでありまして、ぶっちゃけた話、大多数の日本人にはレトロ感もなにもないわけですが、それはそれで気軽に触れられるNES風デザインとしてよいなぁと思った次第であります。


なぜ「ファミコン」と「NES」のデザインは違うのか?


さて「このデザインはファミコンではなくNES」とお話をしたわけですが、そもそも「ファミコン」と「NES」のデザインの違いというのはどこから発生したのでしょうか。

ファミコンのデザインといえば、思い出されるのは特徴的なえんじと白のカラーリング。近年までは「この色の材料が安価であったため」という言説が多数派を占めていましたが、2013年、ファミコン開発責任者である上村雅之さんから「社長命令」であったというお話が出たことで「ファミコンのカラーリングの謎」が解かれています。

「それは間違いですね(笑)。むしろ逆で、最初に予定していた安いスチール製のボディがあまりにも脆かったので、強度の高いプラスチックに変更したくらいですから。えんじ色にした理由は、単純に社長命令だったんですよ。社長がよく巻いていたマフラーの色もあんな感じのえんじ色で、好きな色だからという理由。社長からするとボディのデザイン面は口が出しやすいわけですよ。それが真実です(笑)」

このインタビューは2016年10月現在も週プレNEWSで読むことができます。ファミコン命名の由来、IIコンマイクはなぜ搭載されたかなど興味深い内容も含まれていますので、気になる方はこちらも是非。


NESのデザインの理由


Nintendo Entertainment System

Nintendo Entertainment System

日本でのファミコンに遅れること2年、1985年10月にアメリカ一部地域での発売を果たしたNESことNintendo Entertainment Systemですが、こちらは比較的落ち着いた色合いで、濃淡グレーの四角い筐体が特徴的。これらの配色にボタンやロゴの差し色となる赤が鮮やかです。この赤は8Bitdoスピーカーのネット部分にも使われて全体の印象を引き締めていますね。

それでは、なぜファミコンとNESは別のデザインとなったか、というところですが、これにはどうやら歴史的な背景があるようです。
Ryan Lambieさんが書かれた「Why Nintendo Changed The NES Design Outside Of Japan」では、その理由が考察されています。


ざっくり言うと、アタリショックにより小売店の信頼を失っていたゲーム業界に任天堂が参入するにあたり「あくまでこれはゲーム機ではなく"エンタテインメントシステム"なんですよ」というエクスキューズが必要であった、ということのようです。リビングに置かれたテレビのお供的ポジションを得るには"Atari VCS"のようなゲーム機ではない「別の何か」である必要があったのですね。


そう考えると、ファミコンのようなトップローディングではなく、まるでビデオデッキのようなフロントローディングの形であったり、シックな色合いであることにも納得がいきます。
また、標準で光線銃、豪華版となるDeluxe Setではロボットがセットになっていたというのも、単なるビデオゲーム機とは一線を画すポイントとしてプッシュされていたのでしょう。


「歴史のif」のようなデザインバリエーションを楽しむ


ニューファミコンのコントローラ

日本で目にできるところではニューファミコンのコントローラが近いですね

こういったNESのデザインに関する背景を知った上で「8Bitdo Retro Cube Speaker」をあらためて見てみると、なるほど"Entertainment System"のバリエーションとしてスピーカーがあったら、こんな形になるのかもしれないな、と感じずにいられません。
日本でもファミコンのデザインを模したアイテムが色々とありますが、これらのデザインに込められたストーリーに想いを馳せてみるのも、またひとつの楽しみ方なのではないでしょうか。
それではまた。


8BITDO CUBE SPEAKER
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